StandXはいかにして100万の市場を解き放つのか:それは決して「Stable + Perps」などではない
この記事は少し長文になりますので、ご注意ください⚠️
StandXの開発が始まってから約1年半が経ちました。2025年にDUSDからスタートしてSolanaとBSCを繋ぎ、その後perps(無期限先物)を開発、そして最近になってSIPs(StandX改善提案)が実装され、ようやくエコシステム全体が回り始めました。
この順番のせいで「ステーブルコインの次にperp DEXができた」という印象を持たれがちですが、開発中は常に「すべてが完成してから語ろう」と多くの想いを溜め込んでいました。
私たちは一体何を作っているのか?単なる模倣品ではないか?膨大なエネルギーを注ぎ込み、ふと顔を上げた時に放心状態になることもありました。
しかし、私はクリプトが未来の金融の方向性だと信じています。その真の価値は「分散化」ではなく「トラストレス」にあります。初期のインターネットのようにバブルは伴いますが、この方向性は歴史の必然です。
現在、成功したプロジェクトを徹底的に模倣し、資本や補助金の規模だけで争うケースが多発しています。しかし、他人を基準にしている限り、最高でも「ちょっと遅れてきた彼」にしかなれません。Bitcoin、Uniswap、Pumpfunなど、この業界のブレイクスルーは常に「今まで存在しなかったもの」を創造した時に起きています。
Uniswapは現物市場を、Pumpfunは初期資産の発行を万人に開放し、数百万から数千万という爆発的な数の市場を生み出しました。一方で、perpsの取引ペア数はいまだに500程度にとどまっています。もし現在の手作業による上場ルールを続ければ、毎日10個上場させても273年かかってしまいます。
StandXが追求しているのは、SIP-5のパーミッションレスな仕組みを通じてこの壁を直接飛び越え、perpsで「1,000,000の汎用市場」を構築し、市場のあり方を再定義することです。
これが、StandXがDUSDからスタートした理由でもあります。100万の市場を支えるためには、システムと一体化した価格設定とインセンティブが必要です。スポンサーの資金、メイカーの注文、トレーダーのポジション、そのすべてが利回りを生む。補助金に頼らず、すべての市場が生まれながらにして収益性を持つための前提条件こそが、DUSDによる「Universal Yield」なのです。
既存のコードをフォークするよりはるかに困難な道ですが、誰もやっていないからこそ私たちにチャンスがあります。トレンドは追いかけるものではありません。未来の課題を事前に解決しておき、風が吹いた時に、すでに自分がその中心に立っている。それこそが私たちが目指す姿です。
私たちがやろうとしていることは、ただ一つ。「100万のユニバーサル・マーケットを切り拓く」ことです。
StandXを初めて見た人は、十中八九こう結論づけるでしょう。「DUSDがあって、perp DEXもある。つまり、StandX = ステーブルコイン + Perpsなんだな」と。
そう思うのも無理はありません。外から見れば、確かにその通りですから。でもそれって、「車 = 4つのタイヤ + エンジン」と言っているようなものなんです。構成パーツとしては間違っていませんが、その車が『どこへ向かって走ろうとしているのか』が見えていません。
こんな時、私の頭の中には決まって「PPAP」のあのメロディが流れてきます。
「I have a pen~, I have an apple~, uh! Apple-Pen.」

このネタの笑いどころは、2つのものをただ機械的にくっつけただけ、という点です。リンゴはリンゴのままで、ペンはペンのまま。名前が変わっただけで、新しいものは何も生まれていません。StandXを「Stable + Perps」と表現するのは、一見正しいように聞こえますが、それはあくまで表面的なものに過ぎません。
私たちが本当に成し遂げたいことは、ただ一つ。「100万のユニバーサル・マーケット(Universal Markets)を切り拓く」ことです。
汎用市場(ユニバーサル・マーケット)とは、要するにこういうことです。「市場を開設するのに、もはやプラットフォームの許可は要らない」。
ここで言う「市場」とは、無期限先物(perps)だけに留まりません。SIP-5のフレームワークは、perps、現物(spot)、予測市場(prediction)、プレマーケット(pre-market)など、価格づけされ取引され得るあらゆるものを一つの市場として包括します。
現在、ある資産を取引したいと思っても、まずは取引所が上場してくれるのを待たなければなりません。汎用市場は、この常識を完全にひっくり返します。あらゆる資産、あらゆるプロジェクト、あらゆるコミュニティが、公開されたルールを満たしさえすれば、自分たちの手でStandX上に市場を開設できるようになるのです。
スポンサー(Sponsor)が資産と責任を持ち込み、メイカー(Maker)がオーダーブックに流動性を提供し、トレーダー(Trader)が取引に参加する。DUSDを統一の証拠金として使い、発生した手数料や収益は、市場に本当に貢献した参加者へと直接還元されます。優れた市場は成長を続け、機能しない市場は透明性を保ったまま退場していく仕組みです。
DUSD、Perps、Block Trade、Position Yield、DUSD Native Yield、Block Options、そしてCommunity Maker Yield――。これらすべては、この「たった一つの目的」への道を切り拓くための布石だったのです。
次なる「1万倍」のチャンス:61.7兆ドルの取引高、100万のオンチェーンプール、そしてわずか500のPerps取引ペア
無期限先物(Perps)は、とうの昔にクリプト取引の主戦場となっています。
ロイター通信が引用したCryptoQuantのデータによると、2025年のクリプト市場全体において:
- 無期限先物の取引高: 61.7兆ドル
- 現物の取引高: 18.6兆ドル
無期限先物の取引高は、実に現物の3.3倍に上ります。トレーダーたちが最も活発に動く場所は、とっくに現物からデリバティブへと移行しているのです。
しかし、もっと興味深いデータがあります。
2024年9月、私はETHメインネット上のUniswapのプールをスキャンしました。プールの総数は402,889個で、そのうち実際に使える流動性を持つUniV2とUniV3のプールは約81,000個でした。同時期、BSC上でトークン記録のあるプールは1,200,000個を超えていました。
Pump.funに至ってはさらに異常です。CoinGeckoの統計によれば、2024年1月から2026年6月にかけて、Pump.fun上で取引活動があったトークンは18,670,000個を突破し、平均して毎日21,000個以上が新規発行されていました。
一方で、無期限先物の世界を見てみましょう。最大手のHyperliquidでさえ上場しているのは369ペア。Asterでも519ペアです。
これらの数字を並べて比較してみてください。
- ETHメインネットという単一チェーン上のUniswapプールだけでも、Hyperliquidの全取引ペアの1,000倍以上あります。
- Pump.funで1日に新規発行される資産の数は、Hyperliquidが設立されてから現在までに上場した全取引ペアの50倍以上に達します。
- にもかかわらず、無期限先物の取引高は、現物の3.3倍もあるのです。
もちろん、これらのプールやトークンの中には、大量のスパムやデッドプール、無価値になったコインが含まれています。しかし、そこは重要ではありません。重要なのは、この「異常な事実」です。取引高が3.3倍もある巨大市場なのに、取引可能な資産の数は逆に3桁(1,000分の1)も少ないのです。
結論はただ一つ。
無期限先物の需要はとうの昔に爆発しているにもかかわらず、その「供給」がいまだにロックされたままなのです。現在の数百という取引ペアを、オンチェーン資産と同じ規模にまで引き上げる。これこそが「1万倍」のポテンシャルを秘めたフロンティアであり、クリプト業界において未だ手付かずの最大の空白地帯なのです。
なぜこんなことが起きているのでしょうか?それは、Uniswapが現物市場を開設する権利を万人に解放し、Pump.funが資産を発行する権利を万人に解放したのに対し、無期限先物市場を開設する権利は、今日に至るまで「各取引所の上場会議室」の中に閉じ込められているからです。
歴史はすでに2度も繰り返されています。市場を開設する権利を市場自身に返せば、その数は2倍などという次元ではなく、1万倍に膨れ上がります。現物がそうであったように。ミームコインがそうであったように。そして次にその波が来るのが、無期限先物なのです。
これこそが、StandXが切り込むポジションです。
トレーダーはより多くの資産を取引したがっていますし、プロジェクト側は独自のデリバティブ市場を持ちたがっています。そしてコミュニティは自分たちの資産に流動性を提供したいと願っています。彼らの足かせとなっている本当の理由は、リスティング(上場)、オラクル、リスク管理、流動性、手数料ルーティング、マーケットメイク、清算、上場廃止といった一連のプロセスを、完全かつ公開されたフレームワークとして構築した人がこれまで誰もいなかったからです。
StandXは、まさにこのフレームワークを作るためにやって来たのです。
なぜ「DUSD」でなければならないのか:土台が利回りを生むからこそ、建物の隅々まで利回りが生まれる
取引の根底にあるのは「価格設定(プライシング)」であり、価格設定の根底にあるのは「クオートトークン(Quote Token)」、つまり建値の単位です。BTC/USDTにおける「USDT」がクオートトークンであり、すべての価格はこれで表記され、証拠金もこれで支払われ、損益もこれで計算されます。無期限先物(Perps)におけるクオートトークンは、単なる残高でも、単なる証拠金でもありません。それは、システム全体の資本が「眠っているのか」、それとも「働いているのか」を決定づけるものなのです。
さらに言えば、このクオートトークンは取引システムと一緒に設計されるべきであり、後から取って付けたように導入するべきではありません。価格設定、証拠金、損益、手数料のルーティング(Fee routing)、Reward Vault、Shield Vault、清算……100万の市場で行われるすべての計算は、同一の単位に落とし込まれて初めて互いに噛み合います。汎用的なステーブルコインを接続しても、システム内では単なる「残高」に過ぎません。利回り(イールド)をどう分配し、手数料をどこに還流させ、Vaultをどう動かすかといったロジックを、その資産自体に書き込むことはできないのです。システムとネイティブに一体化して成長するクオートトークンがあって初めて、これらのメカニズムはシステムの一部として内蔵され、あらゆる計算を繋ぎ合わせる統一規格となります。
Hyperliquidのコミュニティが後に「USDH」を推進したのは、本質的にこの課題に気づいたからですが、それはあくまで「後からのパッチ当て」に過ぎません。StandXのアプローチは、初日から完全に逆です。まず「資産レイヤー」を構築し、その上に「取引レイヤー」を構築しました。土台は最初に築くものであり、後から継ぎ足すものではないのです。
もし証拠金が利回りを生まなければ、その後のすべての利回りはキャンペーンやポイント、補助金頼りの無理ゲーになり、その場しのぎにしかなりません。しかし、DUSDが利回りを生むようになると、システム全体のロジックが根本から変わります。マージン(証拠金)が利回りを生み、ポジションが利回りを生み、オーダーブックが利回りを生むのです。「市場を開設する」という行為――つまりスポンサーがStandX上で新しい市場を立ち上げ、それを支えるためにDUSDをReward VaultやShield Vaultにロックすること――すらも、自己成長するビジネスに変わります。市場がまだ育っていなくても、ロックされたDUSDはすでに利回りを生み出しているのです。
証拠金が利回りを生むことを、単なる「ユーザーへのおまけ」だと勘違いしている人が多くいます。メイカー(Maker)にとって、これは「コスト構造の変革」を意味します。在庫の機会費用こそがマーケットメイクの真のコストです。他のプラットフォームで指値注文を出している間、その資金は「死に金」になります。しかしStandXでは、クオーティング(価格提示)中も資金は常に利回りを生み続けるため、マーケットメイクのコストが構造的に押し下げられます。コストが下がれば、メイカーはより深く、よりタイトな価格差で注文を出すようになり、オーダーブックの質が向上します。これこそが、SIP-5Aで「コミュニティにマーケットメイクを任せる」という思い切った決断ができた根拠です。DUSDは、「コミュニティがMM(マーケットメイカー)になる」ことを経済的に成立させる最重要ファクターなのです。
この土台こそが、DUSDです。土台が利回りを生むからこそ、その上に建つすべての階層も利回りを生む。システム全体が、補助金という「輸血」に頼らず、自ら「血液」を供給する自律的なマシーンになるのです。100万の汎用市場を支えようとするシステムには、まず何よりも「生産性のある担保(Productive Collateral)」が不可欠です。そうでなければ、市場が増えれば増えるほど補助金の負担が重くなり、システムは空虚になってしまいます。
SIP-3の導入により、Perpsの手数料(fees)がDUSDホルダーに還流するようになりました。これにより、DUSDはもはや単なる「利回り付きステーブルコイン(Yield-bearing stablecoin)」ではなくなりました。ベースとなる利息に加え、StandXの取引システムから発生する手数料もその収益に流れ込みます。より高い収益性を持つDUSDが、さらに多くのDUSDを引き寄せ、それがより多くの市場と取引高を支え、さらに多くの手数料を生み出します。価値は単にDUSDに移転しているのではなく、DUSDの上で「増幅」されているのです。
だからこそ、正確に言えばStandXは「Stable + Perps」ではなく、「Stable × Perps」なのです。
Apple-Penの限界は、リンゴがリンゴのままで、ペンがペンのままであることでした。しかしStandXでは、Perpsの存在によってDUSDの性質が変わります。Perpsの手数料と資金調達率(ファンディングレート)が、DUSDの収益源となるからです。同時に、DUSDの存在によってPerpsの性質も変わります。利回りを生む証拠金が、他にはない圧倒的な「資本の帯域幅(キャピタル・バンドウィズ)」をもたらすからです。
「プラス(+)」は単なる寄り合い所帯ですが、「かける(×)」は相互の化学反応(リフレクシブ)です。他のPerp DEXが「米ドル経済圏の中にテナントを借りている」だけだとすれば、StandXは「自ら通貨を発行する独自の経済圏を創り上げている」と言えます。DUSDは、この経済圏におけるM0(基礎通貨)なのです。取引、マーケットメイク、市場の開設、リスクの引き受け、そのすべてがDUSDで価格設定され、流通し、担保としてロックされます。
プロダクトをフォーク(コピー)することはできても、「通貨」をフォークすることはできないのです。
まずは現在の11の市場で「圧倒的な深さ」を構築する
100万の汎用市場を目標に掲げているのに、なぜ今のStandXには10個程度の取引ペアしかないのか?その答えは非常にシンプルであり、同時に残酷でもあります。それは「Liquidity only flows into liquidity(流動性は、流動性のある場所にしか流れない)」からです。
VC(ベンチャーキャピタル)のバックアップを持たず、完全な自己資金で立ち上げた新しい取引所が、いきなり100や300ものペアを上場させたとしましょう。しかし、そのどれにも深さ(デプス)がないのだとすれば、それは野心などではなく、単なるユーザーへの無責任です。流動性のない取引ペアは、ユーザーに劣悪な約定結果(スリッページ)を押し付けるだけです。
だからこそ、SIP-5を導入する前に、私たちはまず少数の市場に集中し、その深さを徹底的に強固なものにしました。StandXのBTCオーダーブックは、10bps(0.1%)のスプレッド内に800 BTC以上という驚異的な深さを実現した実績があります。ここでBTCのポジションを持てば、証拠金であるDUSDが利回りを生み、ポジション自体も利回りを生み、さらにメイカーも利回りを得られます。「オンチェーンでBTCのポジションを持つなら、StandX一択だ」――ユーザーにそう直感してもらえる状態を先に作り上げる必要がありました。
プラットフォーム自身が手作業で上場させるのは「足し算」です。今年は11個、来年は50個、再来年は100個といった具合です。しかし、市場を開設する権利を市場自身に委ねることは「掛け算」になります。それぞれのスポンサーが自身の資産を持ち込み、それぞれのコミュニティが自身のメイカーやトレーダーを連れてくる。市場が市場を生み、連鎖的に広がっていくのです。Uniswapは40万ものプールを一つ一つ手作業で上場させたわけではありません。Pump.funも1,867万ものトークンを一つ一つ審査したわけではありません。彼らはただ「水門」を開けただけです。その結果、市場が自発的に雪崩れ込んできたのです。
100万の市場を、プラットフォームが一つ一つ上場させていくこと。それは「やるべきではない」のではなく、「物理的に不可能」なのです。仮に1日10個のペースで上場させても、約300年もかかってしまいます。唯一の道は、市場を「自生」させること。
SIP-5こそが、その開かれるべきのドアーなのです。
SIP-1からSIP-5:100万の市場への布石
UIやDUSD、そして現在あるいくつかの取引ペアだけを見れば、StandXを冒頭で述べたような「寄せ集め」だと誤解してしまうのも無理はありません。つまり、1つのステーブルコインと、十数個のペアしかないperp DEXという、全く無関係な2つのプロダクトをただくっつけただけだ、と。
しかし、SIP-1からSIP-5までの軌跡を辿れば、私たちが踏み出してきたすべてのステップが、実は「たった一つの目標」のための準備であったことにお気づきいただけるはずです。

以下に挙げる各SIPは、他のいかなるperps(無期限先物)プラットフォームを探しても前例がありません。すべてが全く新しい試みであり、誰かのコピーは一つとして存在しません。
これらすべてが組み合わさることで、ある「一つのこと」を実現しています。それは、市場を構成する3つの役割(ホルダー、テイカー、メイカー)を、一つずつ確実に「Universal Yield(ユニバーサル・イールド:普遍的な収益ループ)」の中へと巻き込んでいくことなのです。
| SIP | 対象 | 内容 | 何が画期的か(初の試み) |
|---|---|---|---|
| SIP-1 Block Trade | trader | BNB Chain / Solana 上でマッチングし、StandXで決済 | どのプラットフォームも自社でマッチングと決済を完結させており、既存のパブリックチェーンを接続したのは初 |
| SIP-2 Position Yield | trader | 手数料(Fee)の還流。ポジションを保有するだけで収益が発生 | トレーダーが「支払うだけの存在」から「受け取る存在」に変わった初めての事例 |
| SIP-3 DUSD Native Yield | holder | 手数料(Fee)の還流。DUSDを保有するだけでより多くの利息を獲得 | ステーブルコインが取引システム全体の手数料を分配される初めての仕組み |
| SIP-4 Block Options | trader | Perpsによって決済される初のオンチェーン・オプション。P2Pでプロセスは完全に透明 | トレーダーがオンチェーン上でポジションを保護するための完全な戦略を初めて持てるようになった |
| SIP-5A Community Maker Yield | maker | 実際にマーケットメイクを行うだけで、毎日DUSDとプラットフォームトークンを獲得 | マーケットメイクの収益が機関投資家の独占ではなく、初めてコミュニティに開放された |
| SIP-5 Universal Markets | holder + taker + maker | 誰でも市場を開設できる | 上記すべての仕組みを、1,000,000の市場規模へとスケールさせる |
SIP-1の開発:誰も埋めようとしなかった空白を埋める
SIP-1の開発に取り組んだ時、私たちは「すべてのプラットフォームが放置していた空白」を埋めようとしました。それは、「すでに広く使われているオンチェーンのインフラを接続しようとする人が誰もいない」という事実です。
Hyperliquid、Aster、Lighterなどは、皆「独自のL1資金チェーンを構築する」という別の道を歩んでいます。チェーンというアーキテクチャ自体には私も賛同しますが、「独自の資金チェーンを構築する」というステップは間違っていると考えています。なぜなら、それはユーザーに「資金の分散」を強いることになるからです。もしあなたのポケットに100ドルしかないとして、世界に新しいチェーンが1つ増えたからといって、ポケットの中身が150ドルに増えるわけではありません。それぞれのチェーンに置かれるお金が細かく分散し、減っていくだけです。
SIP-1のアプローチはその逆です。ゼロから独自のものを立ち上げるのではなく、「既存のチェーンを直接強化する」道を選びました。BNB ChainやSolanaのユーザーは、初めて「自分が使い慣れたチェーン上」で、自分の取引意図(インテント)を公開し、任意の相手とマッチングし、最終的な決済をStandXに任せることができるようになったのです。これは、日本で言えば「メルカリ」や「ヤフオク!」のようなものです。自分の持っているものや、買いたい価格を提示し、自分で相手を選んで取引を成立させ、プラットフォームがその取引を安全に完了させる。ソースチェーン(元のチェーン)の取引が、初めてチェーン構造のperps(無期限先物)と直接コミュニケーションできる能力を持ち、CLOB(セントラル・リミット・オーダーブック)以外に、オンチェーンでの新たな約定方式が誕生した瞬間でした。
SIP-2とSIP-3:手数料(Fees)を市場に還流させる
SIP-2とSIP-3がやっていることは、実は同じです。それは「Feesを市場に返す」こと。SIP-2はトレーダーに向けたもので、ポジションを保有しているだけで収益(Yield)を受け取ることができます。SIP-3はホルダーに向けたもので、BNB Chainにいようが、Solanaにいようが、あるいはPerps口座にいようが、DUSDを持っているだけで受け取れる利息が増えていきます。他のプラットフォームでは、Feesはプラットフォームの懐に入ったら二度と出てきませんが、StandXにおいてFeesは「すべての参加者の収入」なのです。
SIP-4とSIP-5A:新しい取引体験と開かれたマーケットメイク
SIP-4はSIP-1の上に構築されており、「Perpsで決済される初のオンチェーン・オプション」を実現しました。P2P(ピアツーピア)で、プロセスは完全にオンチェーンで透明性を保ちます。トレーダーは「利食い(TP)」と「損切り(SL)」という2つのボタンしか持たなかった状態から、初めてオンチェーン上でポジションを保護するための完全な戦略を持てるようになりました。
SIP-5Aは、マーケットメイクという行為を「機関投資家の特権」から「すべての人のビジネス」へと変えました。オーダーブックに真の流動性を提供するだけで、毎日DUSDとプラットフォームトークンを受け取ることができます。見せかけの取引高(ウォッシュトレード)は評価せず、「実際に約定可能な深さ」だけを評価します。
そして最終到達点であるSIP-5:Universal Markets(汎用市場)
最後のSIP-5は、無許可での上場(Permissionless listing)という仕組みを通じて、これまでのすべてをスケールアップさせます。「公開されたルールを満たしさえすれば、誰の承認を得ることもなく、誰でも市場を開設できる」。Perps、現物(spot)、予測市場(prediction)、プレマーケット(pre-market)のすべてが、このフレームワークの中に収まります。これにより、ホルダーの収益源は数百万に増え、テイカーが取引できる市場も数百万に増え、メイカーが収益を上げられるオーダーブックも数百万に増えるのです。
SIP-5に至って、ようやくループが完成しました。
スポンサー(Sponsor)がDUSDを使ってアセットスロット(Asset slot)を獲得して市場を開設し、メイカーをインセンティブで惹きつけるためにReward Vaultに資金を入れ、極端な清算に対するバッファとしてShield Vaultに資金を入れる。メイカーが入ってきて流動性を作り、トレーダーが入ってきて取引をする。発生した手数料は、スポンサー、DUSDホルダー、ポジションを持つトレーダー、そしてメイカーへと還流する。優れた市場は生き残り、機能しない市場はReduce-only(ポジション縮小のみ)、Sunset(段階的終了)、Delist(上場廃止)というプロセスを経て、透明な形で退場していく。
私たちが実現したい「Permissionless(無許可)」とは、非常にシンプルです。それは「ルールがない」ということではなく、「特権がない」ということです。
オラクルをどう構築するか、清算をどう行うか、ロング/ショートをどう保護するか、どのような状況でReduce-onlyになり、どのような状況でDelistになるのか。そのすべては公開されたルールに白黒はっきりと明記されており、その基準は大多数の取引所よりもはるかに厳格です。このシステムが真に排除したものは、ルールの外に存在する「見えざる手」――つまり、上場会議室での密室の決定、内部のコネクション、プラットフォーム側の恣意的な好みといったものです。
伝統的な取引所の上場は「人治」です。誰が上場できるのか、いつ上場できるのか、どんな代償を支払うのか、そのすべてはあの重要で謎に包まれた会議室の中で決定されます。
一方、汎用市場は「法治」です。ルールの前では、あらゆる資産が平等です。ルールを満たしていれば「Go for listing(上場へ進む)」となり、誰の顔色を伺う必要もありません。レッドラインに触れれば透明なプロセスで退場となり、そこに例外はありません。
こうして、私たちは一つの「自己強化ループ」を提示することができます。(クリプト業界では誰もが「フライホイール(Flywheel)」という言葉を安易に使いすぎるため、私はあえてこの言葉を使いたくありません)。
より高く、より安定したDUSDの年利(APY)が、さらに多くのDUSDを引き寄せる。より多くのDUSDが、さらに多くの市場と巨大な取引高を支える。巨大な取引高が、さらに多くのFeesを生み出す。そのFeesがトレーダー、ホルダー、メイカーに還流し、DUSDの年利を再びより高く、より安定したものへと押し上げていくのです。

この自己強化ループが行き着く先こそが、「100万のユニバーサル・マーケット」なのです。
なぜUIまで再構築(リファクタリング)するのか
私たちがUIをゼロから作り直した理由は、StandXが将来的に提供するサービスが「10個程度のメジャーな取引ペア」に留まらないからです。100万の汎用市場を想定した取引システムでは、インターフェース上で提示すべき情報が根本から変わってきます。
従来のPerp(無期限先物)UIのコアは、チャート(chart)、オーダーブック(order book)、注文パネル(order panel)、そしてポジション(positions)です。BTCやETHのような成熟した市場であれば、このセットで十分事足ります。しかし、汎用市場において、ユーザーが知るべきは「価格」だけではありません。
誰がこの市場をスポンサー(sponsor)しているのか?Reward Vaultの資金は十分か?Shield Vaultは極端な相場での清算に耐えうるか?Maker yieldはどう計算されるのか?DUSD yieldはどこから発生しているのか?自分はPosition yieldを受け取る資格を満たしているか?そして、この市場のデプス(深さ)は本物なのか、それともスクリーンショットで見栄えが良いだけの見せ板なのか?
だからこそ、StandXのUIが目指すゴールは非常に具体的です。それは「取引を極限まで透明化すること」です。
- トレーダー(Trader)が市場を開けば、自身の証拠金(margin)、ポジション、収益(yield)、リスクが一目でわかる。
- メイカー(Maker)が市場に入れば、報酬ルールと要求されるデプスが明確にわかる。
- スポンサー(Sponsor)が市場を立ち上げれば、Vaultの状況、手数料のルーティング、市場のステータスを正確に把握できる。
あらゆる役割のプレイヤーが「同じ市場ページ」を中心に動くようになり、情報が大量のキャンペーンページやドキュメント、あるいは隠されたブラックボックスのルールの中に散逸することはもうありません。
もちろん、現在のUIが完璧だとは言いません。しかし、私たちが向かうべき方向は極めて明確です。100万の汎用市場を実現するためには、取引インターフェースを単なる「注文ツール」から「市場のオペレーティングシステム(OS)」へと進化させなければならないのです。
この道は険しく、批判を浴びやすい選択でもあります。でも、それで構いません。問題があれば修正するだけです。このシステムが真に機能し始めた時、今日の「使いにくさ・不慣れ」は、明日の「新たな常識・習慣」へと変わっているはずですから。
チームについて、私たちのバックグラウンド
StandXにはVC(ベンチャーキャピタル)がついていません。すべて自己資金(ブートストラップ)で立ち上げ、1日あたり約7億ドル($700M)の取引高、23万5000人のユーザーを獲得し、DeFiLlamaのperp(無期限先物)ランキングでも上位に食い込んでいます。資本と補助金で規模を拡大するのが当たり前のこの業界において、完全な自己資金でここまで辿り着いたチームを、少なくとも私の知る界隈では数えるほどしか知りません。
これは決して運だけの結果ではありません。私たちは「基礎」を非常に重視しており、チームには次のようなメンバーが揃っています。
- BSCのMEVでトップ1、ETHメインネットのMEVでトップ3の実績を持つ者。MEVはリアルな資金でスコアが競われる闘技場です。オンチェーンシステムに対する深い理解とエンジニアリング能力が、市場のリアルな資金によって証明されています。
- 2022年の時点でEVMコンパイラを書いていた者。当時、大半の人がHuffの存在すら知らなかった時に、彼はすでにオペコード(Opcode)上で言語を創り出していました。
- データベースの最下層、固定小数点数、多倍長整数構造、CPUクロックレベルの最適化のスペシャリスト。StandXのマッチングと決済のパフォーマンスは、クロックサイクル単位で計算されています。
- 情報オリンピックのチャンピオン。彼一人がいるだけで、チームが持つすべてのAIアカウントの使用上限を使い切ってしまいます。
- ゲートウェイ、フロントエンド、バックエンド、DevOpsから、音楽、ビジュアルデザインに至るまで、すべてを一人でこなす異端児。彼に関する唯一の問題は、どこのタイムゾーンにいようと、常に深夜の「午前1時」にしか現れないことです。
2人のメンバーがジョインした時のことは、今でも強く印象に残っています。 1人はアパートを解約し、全財産を車に詰め込んで、ひたすら南へ車を走らせ、オフィスのビル下に車を停めました。 もう1人は、折りたたみベッドを積んで500キロ運転してきて、「なんならそのままオフィスに泊まり込みますよ」と言ってくれました。しかし、彼がゴミ箱の横に車を停めたせいでネズミが入り込んで住み着き、車内が悪臭まみれに。修理工場で車を全解体して2ヶ月干しても臭いが取れず、結果的にジョイン直後は「本当にオフィスで寝泊まりするしかない」羽目になりました。
しかし、そんなことは彼らにとって全く問題ではありません。彼らはトレンド(風)を追うのではなく、自らの「判断」に従ってここに来たのです。
コンパイラを書き、マッチングエンジンを書き、データベースを書いて培ってきたあの頃のローレベルの基礎力は、AI時代において価値が下がるどころか、むしろ倍以上の価値を生み出しています。AIのおかげでコードを書くスピードは確かに上がりました。しかし、「システムがどう動いているのか」「限界はどこにあるのか」「クリティカルパスをどう最適化すべきか」を真に理解している人間の価値は、かつてないほど高まり、希少になっています。だからこそ、私たちは胸を張って言えます。「自分たちが作りたいプロダクトは、何でも作れる」と。
こんな連中が集まって、今さら「100番目のコピー版Perp DEX」を作るだけで満足するわけがありません。
後発組が先行者と全く同じものを作れば、最終的にプロダクト以外の部分――資本、チャネル、マーケティング、補助金――で競争するしかなくなります。それらももちろん重要ですが、私たちが本当に気にしている「一つの問い」には答えてくれません。
その問いとは、「なぜ、無期限先物市場を開設する権利は、今日に至るまで市場自身に返還されていないのか?」ということです。
StandXは、DUSDから始まり、利回り(Yield)から始まり、メイカー(Maker)とスポンサー(Sponsor)から始まりました。この課題を一層ずつ分解し、一つ一つのピースを確実にはめ込んできました。
それは、500の取引ペアを作るためではありません。「100万のユニバーサル・マーケット**(Universal Markets)」を切り拓くためなのです。**
「100番目のHyperliquid」にはならない。私たちは「1番のStandX」になる
市場にある多くのPerp DEXは、Hyperliquidをベンチマーク(比較対象)にしています。確かに彼らはうまくやっているのかもしれませんが、「ベンチマークする」という行為には逃れられない宿命があります。それは、「ベンチマークにした対象を永遠に超えられない」ということです。
相手がやることを後から追いかけ、相手の「今日」が自分の「明日」になる。どんなに最高の結果を出せたとしても、結局は「ちょっと遅れてきた彼」になるのがオチなのです。スポーツの試合でディフェンスをしている選手を想像してみてください。相手が頭の中ですでにターンを完了させているのに、体が動いてから反応したのでは、永遠に数歩遅れを取ることになります。
「今日(こんにち)にして初めて、我は我なりと知る」
StandXは、StandX以外の何者にもなりません。トレンド(風)を追うのではなく、トレンドそのものになる。私たちは、未来に「必ず発生する課題」を今、事前に解決しているのです。オンチェーン・デリバティブ市場における上場(listing)、流動性(liquidity)、利回り(yield)、リスク管理(risk)、そして手数料のルーティング(fee routing)を、「初めて市場自身の手で組織化する」という課題を。
そのための道筋が「Universal Markets(汎用市場)」であり、その燃料となるのが「Universal Yield(普遍的な利回り)」です。そして最終的な目標は、100万の汎用市場を切り拓くことです。
StandXは、いかなる資産であっても、より自由かつ独自に自分たちの市場を持てる世界を実現します。
プロジェクト側は、取引所のご機嫌を伺いながら上場の順番待ちをする必要はもうありません。ルールさえ満たせば、即座に自分たちの市場を開設できます。メイカー(Maker)は、コネを使ってマーケットメイクの契約を勝ち取る必要はなくなります。オーダーブックに本物の流動性を提供するだけで、毎日収益が得られます。トレーダー(Trader)は、もはや「ただ手数料を支払うだけの存在」ではありません。ポジションを保有すること自体が利回りを生むのです。あなたのウォレットに眠っているDUSDでさえも、100万の市場が生み出す成長の果実を分かち合うことになります。
Uniswapが現物市場の「創設権」を市場自身に返還したことで、ETHメインネットには40万以上、BSCには100万以上の取引プールが生まれました。Pump.funが資産の「発行権」を市場自身に返還したことで、1,800万もの資産が世に放たれました。権限が市場に返還されるたびに、常に「桁違いの飛躍」が起きてきたのです。
無期限先物(Perps)は、この歴史的返還における「最後にして最大のピース」です。そして今回、それを完成させるのはStandXの役目です。
次世代の取引市場において、「どれだけ多く上場させたか」を競う時代は終わります。これからの勝負は「いかに市場を『自生』させられるか」です。これは単なる予測ではありません。すでに2度も繰り返された歴史の事実なのです。
ルールはすでに書き上げられました。土台はすでに利回りを生み出しています。新たな秩序は完成しました。
あとはただ、市場が自らここへ雪崩れ込んでくるのを待つだけです。
Don’t be a follower.
Be a Stander.